Javaの開発において、データの永続化層を設計する際に、DAO(Data Access Object)パターンとRepositoryパターンはよく使われる設計パターンです。
この2つのパターンは似ているように見えますが、それぞれの目的や使用方法にいくつかの違いがあります。
この記事では、DAOとRepositoryの違いについて説明します。
DAO(Data Access Object)
DAOパターンは、データベース操作を抽象化するための設計パターンです。
データベースの操作(CRUD操作)を分離し、ビジネスロジックとデータアクセスロジックを分けることで、コードの可読性と保守性を向上させます。
目的:データベース操作の抽象化と分離
主な機能: CRUD操作(Create, Read, Update, Delete)の実装
具体例:
public interface UserDao {
void createUser(User user);
User getUserById(int id);
void updateUser(User user);
void deleteUser(int id);
}
public class UserDaoImpl implements UserDao {
// JDBCやORMフレームワークを用いてデータベース操作を実装
}
Repository(リポジトリ)
Repositoryパターンは、ドメインモデルの永続化を管理するための設計パターンです。
ドメイン駆動設計(DDD: Domain-Driven Design)においてよく使われ、ビジネスロジックと永続化ロジックを分離することを目的としています。
Repositoryは、複数のデータソースからデータを取得し、ドメインオブジェクトとして提供します。
目的:ドメインオブジェクトの永続化管理とビジネスロジックの分離
主な機能:ドメインオブジェクトの取得、保存、削除
具体例:
public interface UserRepository {
void save(User user);
User findById(int id);
List<User> findAll();
void delete(User user);
}
public class UserRepositoryImpl implements UserRepository {
// 実装はDAOと類似しているが、ビジネスロジックとの統合に重点を置く
}
主な違い
- DAO: 主にCRUD操作に重点を置き、データの保存、読み取り、更新、削除を簡潔に行うためのインターフェースと実装を提供します。
- Repository: ドメインオブジェクトのライフサイクル全体を管理し、ビジネスロジックと密接に連携することを重視します。
使い分ける
プロジェクトの規模や要件に応じて、DAOとRepositoryのどちらを使用するかを選択することが重要です。
小規模なプロジェクトやシンプルなCRUD操作が主な要件の場合は、DAOパターンが適しています。
一方、複雑なビジネスロジックやドメイン駆動設計を採用する場合は、Repositoryパターンがより適しています。
まとめ
DAOとRepositoryは、どちらもデータの永続化層を扱うための設計パターンですが、その目的や適用するシナリオに違いがあります。
DAOは主にデータベース操作を簡潔にし、ビジネスロジックから分離することを目的としています。一方、Repositoryはドメイン駆動設計において、ドメインオブジェクトの永続化管理とビジネスロジックの分離に重点を置いています。プロジェクトの規模や要件に応じて、適切なパターンを選択することが重要です。
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