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【Java】Webコンテナ、Spring Bootコンテナ、SpringMVCコンテナ、DispatcherServletの違い

JavaのWeb開発において、異なるレベルのコンテナが多く存在します。これらのコンテナは、Webアプリケーションを実行するために必要な様々な機能を提供しますが、それぞれの役割や使用シナリオは異なります。

本記事では、Webコンテナ(例えばTomcat)、Spring Bootコンテナ、SpringMVCコンテナ、DispatcherServletについて詳しく説明します。

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| Webコンテナ (例えば Tomcat)                     |
|  |-------------------------------------------| |
|  | Spring Bootコンテナ                        | |
|  |  |-------------------------------------| |  |
|  |  | SpringMVCコンテナ                    | |  |
|  |  |  |------------------------------- | | |  |
|  |  |  | DispatcherServlet (Servlet)    | | |  |
|  |  |  |------------------------------- | | |  |
|  |  |-------------------------------------| |  |
|  |-------------------------------------------| |
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Webコンテナ(例えばTomcat)

Webコンテナ(Web Container)は、サーブレットやJSPを実行するための環境を提供するソフトウェアです。

代表的なWebコンテナにはApache Tomcat、Jetty、WildFlyなどがあります。

Webコンテナは、以下のような機能を提供します。

  • HTTPリクエストの処理:クライアントからのHTTPリクエストを受け取り、適切なサーブレットに転送します。
  • セッション管理:ユーザーセッションを管理し、クライアントとサーバー間の状態を保持します。
  • ライフサイクル管理:サーブレットの生成、初期化、サービス提供、破棄を管理します。

Spring Bootコンテナ

Spring Bootコンテナは、Spring Bootアプリケーションの実行環境を提供する軽量なコンテナです。

Spring Bootは、スタンドアロンで動作するJavaアプリケーションを簡単に作成できるように設計されており、内蔵のWebサーバー(例: Tomcat、Jetty、Undertow)を使用してアプリケーションを起動します。

  • 自動設定:Spring Bootは、自動設定機能により、開発者が手動で設定ファイルを記述する手間を省きます。
  • 組み込みWebサーバー:Spring Bootは、組み込みのWebサーバーを使用してアプリケーションを実行できるため、外部のWebコンテナを設定する必要がありません。

SpringMVCコンテナ

SpringMVCコンテナは、Spring Frameworkの一部であり、MVC(Model-View-Controller)アーキテクチャに基づいてWebアプリケーションを構築するためのフレームワークです。

SpringMVCコンテナは、Webリクエストの処理、データのバインディング、ビューのレンダリングなどを行います。

  • リクエストハンドリング:SpringMVCは、リクエストをコントローラにルーティングし、適切なハンドラメソッドを呼び出します。
  • データバインディング:リクエストパラメータをJavaオブジェクトにバインドし、データをコントローラに渡します。
  • ビューのレンダリング:ビジネスロジックの結果をビューに渡し、レスポンスを生成します。

DispatcherServlet

DispatcherServletは、SpringMVCの中心となるサーブレットであり、すべてのHTTPリクエストを受け取り、適切なハンドラにディスパッチ(振り分け)します。

DispatcherServletは、SpringMVCの設定に従い、コントローラ、ビュー、モデルを連携させます。

  • リクエストのディスパッチ:DispatcherServletは、リクエストを適切なコントローラに振り分けます。
  • ハンドラマッピング:リクエストURLに基づいて、対応するハンドラメソッドを見つけます。
  • ビューの解決:ハンドラメソッドの結果を基に、適切なビューを選択し、レスポンスを生成します。

実際のファイル構造と詳細な説明

Webコンテナ

Webコンテナは、サーブレットやJSPを実行するための環境を提供します。

例えば、Apache Tomcatを使用する場合、Webアプリケーションのファイル構造は以下のようになります。

myapp/
├── WEB-INF/
│   ├── web.xml
│   ├── classes/
│   │   └── com/
│   │       └── example/
│   │           └── MyServlet.class
│   └── lib/
│       └── mylibrary.jar
├── index.jsp
└── static/
    └── style.css
  • WEB-INF/web.xml:デプロイメント記述子。サーブレットの設定やフィルタ、リスナーなどの情報を記述します。
  • WEB-INF/classes/:コンパイルされたクラスファイルを配置します。
  • WEB-INF/lib/:依存するライブラリ(JARファイル)を配置します。
  • index.jsp:クライアントがアクセスする最初のJSPページ。
  • static/:静的リソース(CSS、JavaScript、画像など)を配置します。

Spring Bootコンテナ

Spring Bootを使用すると、アプリケーションのファイル構造はシンプルになります。

Spring Bootは組み込みWebサーバーを使用するため、外部のWebコンテナを設定する必要はありません。

myapp/
├── src/
│   ├── main/
│   │   ├── java/
│   │   │   └── com/
│   │   │       └── example/
│   │   │           ├── MyApplication.java
│   │   │           └── controller/
│   │   │               └── MyController.java
│   │   └── resources/
│   │       ├── application.properties
│   │       └── static/
│   │           └── style.css
│   └── test/
│       └── java/
│           └── com/
│               └── example/
│                   └── MyApplicationTests.java
└── build.gradle (または pom.xml)

src/main/java/:アプリケーションのソースコードを配置します。

  • MyApplication.java:Spring Bootアプリケーションのエントリーポイント。
  • controller/:MVCのコントローラを配置します。

src/main/resources/:アプリケーションのリソースファイルを配置します。

  • application.properties:アプリケーションの設定ファイル。
  • static/:静的リソースを配置します。

build.gradle または pom.xml:ビルドツールの設定ファイル(GradleまたはMaven)。

SpringMVCコンテナ

SpringMVCを使用すると、Webアプリケーションの構造は以下のようになります。

Spring Bootと組み合わせることが多いです。

myapp/
├── src/
│   ├── main/
│   │   ├── java/
│   │   │   └── com/
│   │   │       └── example/
│   │   │           ├── MyApplication.java
│   │   │           ├── controller/
│   │   │           │   └── MyController.java
│   │   │           └── model/
│   │   │               └── MyModel.java
│   │   └── resources/
│   │       ├── application.properties
│   │       └── templates/
│   │           └── index.html
│   └── test/
│       └── java/
│           └── com/
│               └── example/
│                   └── MyApplicationTests.java
└── build.gradle (または pom.xml)
  • controller/:SpringMVCのコントローラクラスを配置します。
  • model/:ビジネスロジックを含むモデルクラスを配置します。
  • templates/:テンプレートエンジン(例えばThymeleaf)で使用されるビューを配置します。

DispatcherServlet

DispatcherServletは、SpringMVCの中心となるサーブレットで、すべてのHTTPリクエストを処理します。

以下は、DispatcherServletがリクエストを処理する流れです。

  1. リクエスト受け取り:クライアントからのリクエストがDispatcherServletに届きます。
  2. ハンドラの選択:DispatcherServletは、リクエストに対応するハンドラ(コントローラのメソッド)を選択します。
  3. ハンドラの実行:選択されたハンドラメソッドが実行され、ビジネスロジックが処理されます。
  4. ビューの選択:ハンドラメソッドの結果に基づいて、適切なビューが選択されます。
  5. レスポンス生成:ビューがレンダリングされ、クライアントにレスポンスが返されます。
myapp/
├── src/
│   ├── main/
│   │   ├── java/
│   │   │   └── com/
│   │   │       └── example/
│   │   │           ├── MyApplication.java
│   │   │           ├── controller/
│   │   │           │   └── MyController.java
│   │   │           └── model/
│   │   │               └── MyModel.java
│   │   └── resources/
│   │       ├── application.properties
│   │       └── templates/
│   │           └── index.html
│   └── test/
│       └── java/
│           └── com/
│               └── example/
│                   └── MyApplicationTests.java
└── build.gradle (または pom.xml)
@Controller
public class MyController {
    @GetMapping("/")
    public String index(Model model) {
        model.addAttribute("message", "Hello, SpringMVC!");
        return "index";
    }
}
<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
    <title>SpringMVC Example</title>
</head>
<body>
    <h1>${message}</h1>
</body>
</html>

クライアントからのリクエスト処理の詳細な流れ

+-------------------+
|    クライアント    |
|    (ブラウザ)    |
+--------+----------+
         |
         v
+--------+----------+
|   Webコンテナ      |
|   (Tomcat)       |
+--------+----------+
         |
         v
+--------+----------+
| DispatcherServlet |
+--------+----------+
         |
         v
+--------+----------+
|   Controller      |
+--------+----------+
         |
         v
+--------+----------+
|  Service/DAO      |
+--------+----------+
         |
         v
+--------+----------+
|  View Resolver    |
+--------+----------+
         |
         v
+--------+----------+
|   View (JSP)      |
+--------+----------+
         |
         v
+-------------------+
|   クライアント     |
|  (ブラウザ)      |
+-------------------+

クライアントがリクエストを送信

  • クライアント(例えば、ブラウザ)がHTTPリクエストをサーバーに送信します。

Webコンテナがリクエストを受信

  • Webコンテナ(例えば、Tomcat)がこのリクエストを受信し、DispatcherServletがそのリクエストを処理することを認識します。
  • TomcatはリクエストをDispatcherServletに転送します。

DispatcherServletがリクエストを処理

  • DispatcherServletはSpringMVCフレームワークのフロントコントローラとして機能します。
  • DispatcherServletはリクエストURLに基づいて適切なControllerを見つけます。

Controllerがリクエストを処理

  • Controllerは具体的なリクエストを処理するJavaクラスで、ビジネスロジックを含んでいます。
  • Controllerがリクエストを処理した後、通常はビュー名(例えば、”hello”)を返します。

ビューの解決

  • DispatcherServletはビューリゾルバ(View Resolver)を使用して、ビュー名を実際のビュー(例えば、JSPファイル)に解決します。
  • ビューリゾルバは対応するビューオブジェクトを見つけて返します。

レスポンスの生成

  • ビュー(例えば、JSPファイル)はレスポンスコンテンツ(例えば、HTMLページ)を生成します。
  • ビューは生成したコンテンツをDispatcherServletに返します。

クライアントへの返却

  • DispatcherServletは生成されたレスポンスコンテンツをWebコンテナに返します。
  • Webコンテナはレスポンスコンテンツをクライアント(例えば、ブラウザ)に送信します。

まとめ

  • Webコンテナ(例えばTomcat):サーブレットやJSPを実行するための環境を提供し、HTTPリクエストの処理やセッション管理を行います。
  • Spring Bootコンテナ:Spring Bootアプリケーションの実行環境を提供し、組み込みWebサーバーを使用してスタンドアロンで動作します。
  • SpringMVCコンテナ:SpringMVCフレームワークの一部であり、MVCアーキテクチャに基づいてWebアプリケーションを構築するための機能を提供します。
  • DispatcherServlet:SpringMVCの中心となるサーブレットであり、すべてのHTTPリクエストを受け取り、適切なハンドラにディスパッチします。

これらのコンポーネントは、それぞれ異なる役割を持ちながら連携し、Java Webアプリケーションの開発と実行を支えています。各コンポーネントの役割と機能を理解することで、より効率的な開発が可能になります。

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