どちらもウェブページに図形や画像を描画するために使用されますが、それぞれ異なる特徴や用途があります。今回では、SVGとCanvasの違いについて解説します。
SVG
SVGは、XMLベースのベクター画像フォーマットです。
ベクター画像は、数学的な形状や座標を使用して描画されるため、拡大・縮小しても画質が劣化しません。
SVGの主な特徴は以下のとおりです。
- ベクターグラフィックスであるため、拡大・縮小しても画質が劣化しない
- XMLベースであり、テキストエディタで編集可能
- DOM(Document Object Model)を持ち、CSSやJavaScriptで操作できる
- アニメーションやイベントハンドラをサポートしている
Canvas
Canvasは、ビットマップグラフィックスを描画するためのHTML5の要素です。
ピクセル単位で描画されるため、拡大すると画質が劣化することがあります。
Canvasの主な特徴は以下のとおりです。
- ビットマップグラフィックスであるため、拡大すると画質が劣化することがある
- JavaScriptを使用して描画するため、動的なコンテンツの作成に適している
- パフォーマンスが高く、ゲームやアニメーションなどの高速描画が必要な場面で利用される
- DOMを持たないため、CSSやイベントハンドラを直接使用できない
SVGとCanvasの違い
- 表現形式:SVGはベクター画像、Canvasはビットマップ画像
- 操作性:SVGはDOMを持ちCSSやJavaScriptで操作できるが、CanvasはJavaScriptのみで操作する
- アニメーション:SVGはアニメーションやイベントハンドラをサポート、CanvasはJavaScriptでアニメーションを実装
- パフォーマンス:SVGは複雑なグラフィックスやアニメーションでパフォーマンスが低下することがあるが、Canvasは高速描画が可能
- 用途:SVGは図形やアイコン、シンプルなアニメーションに適しているが、Canvasはゲームや複雑なアニメーション、動的なコンテンツに適している
どちらを選ぶべきか
SVGとCanvasの選択は、用途によって異なります。
以下のような場合には、SVGが適しています。
- シンプルな図形やアイコンを描画する場合
- イラストや図表などの拡大・縮小に対応した画像が必要な場合
- CSSやJavaScriptで操作したい場合
一方、以下のような場合には、Canvasが適しています。
- ゲームや複雑なアニメーションを実装する場合
- 大量の画像や図形を高速で描画する必要がある場合
- ピクセル単位での画像操作が必要な場合
同じ矩形と円を描画する例
以下に、SVGとCanvasを使って同じ矩形と円を描画する例を示します。
SVGで矩形と円を描画する例:
<svg width="200" height="200">
<rect x="10" y="10" width="100" height="50" fill="#8cb4ff" />
<circle cx="150" cy="40" r="30" fill="pink" />
</svg>
Canvasで矩形と円を描画する例:
<script>
function draw() {
var canvas = document.getElementById("20230319");
if (canvas.getContext) {
var ctx = canvas.getContext("2d");
ctx.fillStyle = "#8cb4ff";
ctx.fillRect(10, 10, 100, 50);
ctx.fillStyle = pink";
ctx.beginPath();
ctx.arc(150, 40, 30, 0, Math.PI * 2, true);
ctx.fill();
}
}
window.onload = draw;
</script>
<div>
<canvas id="20230319" width="200" height="200"></canvas>
</div>
これらのコード例では、SVGとCanvasを使用して同じ矩形と円を描画しています。
SVGの場合は、<rect>
と<circle>
要素を使って図形を描画しています。
一方、Canvasの場合は、JavaScriptを使用して図形を描画しています。
どちらの方法でも、ウェブページ上に同じような図形が表示されますが、描画方法と操作性が異なります。
まとめ
HTML5のSVGとCanvasは、それぞれ異なる特徴と用途を持つグラフィックス技術です。
SVGはベクター画像を扱い、拡大・縮小に対応しやすく、CSSやJavaScriptで操作できる特徴があります。一方、Canvasはビットマップ画像を扱い、高速描画や動的なコンテンツに適しています。
はくです。お役に立てましたら幸いです。ご不明点やご質問がございましたら、お気軽にコメント欄よりお問い合わせください。
コメント